…といってもショッピングのことではありません。
”かいだし”というのは、溶解炉の中でドロドロに溶けているガラスを、
鉄製の大きなレードル(スプーン状のもの)ですくう作業のことです。
溶解炉のフタを全開にしてガラスをすくうため、西川慎先生も完全防備!!
耐熱の大きなグローブをして、顔をタオルで隠しています。
そして、”せんべい”というのは、レードルですくったガラスを
マーバーという鉄の台に落として作るガラスの円盤のことです。
おせんべいのような形だからでしょうか…。
出来立てほやほやのせんべいはまだ熱すぎて、そのまま徐冷炉に入れると
徐冷炉の中で曲がってしまったり、重ねたせんべい同士がくっついてしまいます。
そこで、3~4枚のせんべいをかいだしたら、少し冷ます時間を作ります。
せんべいが冷めてきたら、木の板の上に移動させて…
徐冷炉に入れます!
前回の”かいだし”は、溶解炉のるつぼの中の”浮き輪”を交換するための作業でしたが、
今回は、るつぼの交換のための”かいだし”です!
詳しくはブログ「浮き輪の交換 と かいだし。」をどうぞ♪
溶解炉の中には、「るつぼ」という大きな陶器のつぼが入っています。
そのるつぼにガラスの原料を入れて熔かしているのですが、るつぼは消耗品で、
交換をしないと、だんだんつぼが痛んでそのうち壊れてしまいます。
るつぼの交換の時には、いつもは火をたいた状態の溶解炉の
火を完全に落として、かなり大がかりな溶解炉の補修も行います。
ガラスがたくさん入ったまま火を落とすと、まだまだ使えるきれいな
ガラスが、るつぼの中で冷めて固まってしまいます。
そのガラスを使いたい時に、るつぼを割ってきれいなガラスだけを
より分けて…という作業をするのはとても大変なので、
火を落とす前にきれいなガラスでせんべいを作っておき、
次にガラスを熔かす時の原料にして使用します。
これが、今回作ったせんべい。たくさんありますね♪
せんべいを作った後のマーバーは、焼きそばくらいなら軽く作れそうなくらい熱くなっています。
そこで、間違って触る人がいないように、使い終わったマーバーには
チョークで日付と時間、そして「あつい!さわるな!」とメッセージを書いておきます。
完全に冷めるまで半日くらいかかります。
さて、次に同じ”かいだし”でも”水あげ”という作業をご紹介します。
先ほどのせんべいはマーバーの上にガラスを落としてから徐冷炉に入れましたが、
”水あげ”は、水のたっぷり入ったバケツの中に直接ガラスを落とし、
粉々に砕きながら冷ましていきます。
細く垂らすと、それだけ細かいガラスになります。
レードルだけでも結構な重さなので、このようにゆっくりと
ガラスを垂らすのはとても大変な作業です!
バケツの中を覗いてみました。
まだまだ真っ赤なガラスがあります。
どんどんガラスを入れると、この大きなバケツの水も沸騰してしまうので、
沸騰しそうになったら時々水を足して、冷ましながらどんどんガラスを落としていきます。
せんべいと同じくこの水あげのガラスも、
原料にし
たり、作品を作る時に使ったりします。
また、新しいるつぼに初めてガラスを熔かす時にるつぼを
きれいに洗うためのガラスとして使います。
この溶解炉、年が明けたら前面をはがして新しいるつぼと交換します。
いままでお疲れ様でした…。
新年のるつぼの交換の様子は、またブログに更新します。 (S)